株を魅力的に見せるコツ

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対象企業が不動産関連だったりファイナンス関連である場合は、その他の似たような企業とひとまと釧こして(ロール・アップ:roll-up)売りに出される場合もあります。 最近では、プライベートエクイティ関連の企業が、上場企業を買収して「非公開化」する取引も見られます。
彼らの目的は、買収企業を再上場させるか、他企業へ転売することですが、その前にたっぷり「マネジメント・フィー」を吸い上げます。  どちらのタイプの買い手も常に存在しますが、時期によりそのどちらかが優勢になるようです。
1980年代は財務目的の買い手の黄金期でしたし、 1990年代は戦略的な買い手が優勢でした。  買い手のみならず、売り手にも動機があることを忘れてはなりません。

例えば、親族企業オーナーの健康問題や後継者難とか、スタートアップ企業が主要株主であるベンチャー・キャピタルから収益確定のための「エグジット」圧力を受ける場合もあるでしょう。 売り手となる企業には、必ずといっていいほど、財政難や規模拡大の行き詰まり、または、機会があるうちに企業を現金化したいという経営者の欲求が潜在しています。
 ここで、買い手の戦略的な動機について、詳しく見てみましょう。 戦略的動機は数々ありますが、主なものは次の通りです。
・製品ラインまたは商圏の拡大・対象企業のオペレーションを加えることによる売上及び利益の拡大・サプライヤーを買収することによるコストの削減・特定技術、知的所有権(IPR)、または製造ラインの入手 ・技術開発費用の削減 ・優秀な社員の獲得 ・競合の参入阻止 これらのリストを見て、意外だと思った人も多いかもしれません。 この中には対象企業の収益性が入っていません。
対象企業の収益性にあまりこだわらない買い手が、実は多いのです。 例えば、買い手が大手製造業だった場合、対象企業には到底不可能なほど効率的に製品流通させることができるからです。
 シリコン・バレーでは、最大の動機は、技術、そしてIPR、何よりも優秀な技術者です。 しかし、米国法では、たとえ雇用者との間で契約を結んでいたとしても (それ自体が稀ですが)、雇用者が従業員に勤務を強制することはできません。
重要な従業員が抜けてしまったら、企業を買収するために払った資金の一部が無駄になってしまいます。 対象企業の従業員に勤務継続を奨励し動機付けを行う最も良い手段は何かを考えることが「M&Aインテグレーション」の鍵なのです。

これについては、後でお話しいたします。  あなたの動機が何であれ、 M&Aを手段として選ぶ際には、それが最も費用対効果が高いかどうかを熟考する必要があります。
以前、ある買収取引に関わっていた私は、ある時点で特許ライセンスをすれば買収と同様の効果があることがわかり、買収案を捨てました。 かかったコストは、買収の場合の10分の1でした。
特許ライセンスだけでなく、例えば対象企業とベンダー契約を結ぶなどのシンプルな方法が、 M&Aの代替案になることがあります。  戦略的M&Aの「お手本」として取り上げられることが多いのが、シスコシステムズ社です。
シスコは、 M&A対象企業を評価し、交渉に関わり、買収したビジネスと従業員を自社にインテグレート(統合)していく、といった一連の活動を行う専門部隊を擁しています。 1990年から今日まで、シスコは90社以上の企業を買収しましたが、そのうち17社は2005年に実施されたものでした。
買収価格は数億円から数千億円までと、かなりばらつきがあります。  対象企業を放り込んでいく過程で、シスコがまず始めるのが、下記の点のチェックです。
1.産業の将来像と特定製品の将来像について、対象企業とシスコは共通の視点を持っているか 2.対象企業は、買収後6-12カ月の間に市場に出せる高性能の製品を持っているか 3.対象企業は、シスコと似通った企業風土を持っているか 4.その買収は、シスコ従業員・株主・顧客そしてビジネスパートナーに、長期的な利益をもたらすか 5.その買収が大規模なものである場合、対象企業は地理的に既存のシスコ施設と近接しているか シスコは、上記五つの条件全て(非常に稀だが、場合により四つ)に合致する案件のみ、案件を進めると言われています。 さらに、進めた案件の10件にひとつしか実際には成約しないと言われています。
個人的には、 10件に1件でもかなり高い確率であるとは思いますが。  この条件は、全ての産業に共通して使えるわけではありません。
例えば、新薬の製造には5年から10年の月日を要します。 ただし、新薬製造の手がかりになる化学化合物の特許を持っていたり、その他の新薬製造の取っ掛かりになるものを持っているスタートアップ企業を、大手製薬企業が買収する例は多く見られます。
彼らも、シスコのように、技術を自分で作り上げる手間を省くために、買収を仕掛けるのです。  戦略的な買い手は、取引の数カ月または数年後に、おまけの収益、もしくはおまけの「価値」 (株価の上昇など)を期待します。
この「おまけ」は多くの場合、「シナジー」と呼ばれます。  ところで、 「シナジーの有無は、買い手次第」ということは、案外忘れられがちな点です。

それが生まれるか否かは、買い手の強みと弱みに、対象企業がいかにうまくはめ込まれたかによるのです。 先ほどのシスコの条件の中でも、対象企業だけでなく、シスコ自身について何度も問われていますよね。
ある産業の中での優良企業が、あなたの企業にとって良い投資になるとは、必ずしも言えないのです。  一例を挙げましょう。
あなたが、非常に収益が高く素晴らしい経営が行われている、世界でも一流の養豚場を発見したとします。 もしあなたの会社の主たるビジネスが、サウジラビアなど、豚を食用としないイスラム各国への食料配給だった場合、この会社を買収してもシナジーは何も生まれません。
 売り手も、買い手同様、シナジーという存在を理解しています。 そして通常は、その一部をあわよくば入手しようと画策します。
良い例が、対象企業が上場企業の場合です。 上場企業を買収するのだから、流通している株価に購入株式数を乗じた金額、つまり「時価総額(Market Capitalization)」が、買収価格になるのですよね?答えはNOです。
買い手は、実に30-40%もの株価上乗せを行うのが平均的なのです。 つまり、このような取引では、長期的収益または「価胤上昇を実現するような素晴らしい「シナジー」が前提となっています。
しかし、最近のバージニア大学の調査によると、買収後の買い手の「価値」上昇は、数年経った後でも平均すると「ゼロ」だったそうです。  そんなに冴えない結果しか出ないのに、なんでまたこんなに沢山の人がM&Aを追い求めるのでしょう?ここで再び登場するのが、 「自信過剰」と「盲目的追随」です。
戦略的なM&Aを仕掛けるCEOたちの少なくとも半数は、シナジーを作り上げる能力に過剰な自信を持っています。

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